寺田凛奈は午後ずっと医術の本を読んでいたが、午後五時になると、藤本凜人から電話がかかってきて、芽が一緒に夕食を食べたいと言っているとのことだった。
寺田凛奈は不思議そうに尋ねた。「じゃあ、来てください。」
藤本凜人は少し躊躇してから、言いたくなさそうな様子で言った。「寺田家には行けないと思います。お父様が私のことをあまり良く思っていないようですから。」
その言葉は本当に切なく聞こえた。
寺田凛奈は急に心が痛くなり、言った。「わかりました。場所を教えてください。建吾と一緒に行きます。」
「はい。」
電話を切ると、藤本凜人はLINEで食事の場所を送ってきた。
寺田凛奈は場所を確認すると、そこまで遠くないことがわかった。
そのため、もう30分ほど医学書を読んでから出発することにした。