寺田凛奈の声は澄んでいて、みんなが入江冬月のことを内々で話し合っていても、その言葉は確実に全員の耳に届いた。
入江冬月の指が少し強張った。
彼女は話をした女性をじっと見つめた。黒いシャツを着て、服の中に入れ込み、カジュアルに大きなリュックを背負い、そこに立っている姿は凛々しくてクールだった。
そしてその質問は、まるで彼女の心理を見透かしたかのように、一瞬彼女を動揺させた。
まさか自分の嘘がばれたの?
そう思った瞬間、倉田隊長は冷笑した。「寺田凛奈、何が言いたいんだ?黒猫がそんなことを言ったかどうかは、黒猫本人にしかわからない。お前が黒猫なのか?何を疑問視してるんだ?」
寺田凛奈は眉を上げ、口を尖らせた。
倉田隊長は再び口を開いた。「女は嫉妬深いものだと分かってる。自分より綺麗で人気のある女性が入ってきて、気に入らないんだろう?でもそれは他人を疑う理由にはならないぞ!」