寺田凛奈は眉をひそめ、心中の不快感は極限に達していた。
あの入江冬月は、初めて会った時から好きになれなかった。
黒猫を利用して話題作り、そしてYを利用して好感度を上げようとして……本当に必死に自分を良く見せようとしている。
でも昨夜の匿名の善行が、彼女に横取りされるなんて?
ふん。
寺田凛奈は目を伏せ、何となく不機嫌になってきた。
しかし彼女は元々気ままな性格なので、何も言わなかった。結局、突然みんなの前に出て行って、私がQですと言うわけにもいかない。正体は守らなければならないのだから。
でも彼女から事を起こさなかったのに、入江冬月との衝突がこんなにも早く訪れるとは!
午後2時か3時頃、暇つぶしに帰ろうとしたところ、向こうから入江冬月と鉢合わせた!
彼女は書類を抱えて、うつむいたまま急いで寺田凛奈に向かって突っ込んできた!