寺田凛奈は昨夜、夢を見た。
夢の中で、男性が彼女の腰に手を回し、唇にキスをした後、彼の涙ぼくろにもキスをさせて……
そして朝7時過ぎ、珍しく早く目が覚めた。
今日、藤本凜人が正式に結婚の申し込みに来ることを考えると、凛奈は何故か少し緊張していた。
思い切って起床し、外を何周か歩き回り、藤本建吾を学校に送った後も退屈で仕方がなく、車を藤本家へと向かわせた。
自分でも何故藤本家に来たのか分からなかったが、門前で藤本柊花と入江冬月が言い争っているのを目にした。
彼女は車を降り、二人に近づいた。
入江冬月は彼女を見て眉をひそめ、こう言った。「どうしてそんなことが?黒猫は私の友達よ!たとえ藤本柊花が藤本家のお嬢様だとしても、黒猫がその身分で彼女と親しくなるなんてことはないわ!海外と国内は全く別の世界なのよ!」