寺田治の言葉に、寺田真治と寺田亮は少し驚き、二人は同時に彼を見つめた。
寺田治は先ほどの出来事を説明し、続けて言った。「あの男の顔はよく見えなかったけど、なんで姉さんを家まで送らなかったんだろう?それに、二人が車を降りて乗り換えるとき、明らかに抱き合ってたんだよね……ってことは、姉さんは建吾のお父さんに内緒で、誰かと付き合ってるのかな?」
寺田治にとって、藤本凜人は藤本家の権力者ではなく、ただ建吾と芽のお父さんでしかなかった!
建吾、寺田真治、寺田亮の三人は互いに顔を見合わせ、最後に三人とも黙って溜息をつき、寺田亮が口を開いた。「そんなことを言うな。お前の姉さんはそんな人じゃない」
寺田治は頷いた。「僕もそう思う。姉さんはあんなにお金持ちなんだから、二股なんかかけるわけないよ!」