第569話 大変なことになった!!

寺田凛奈は前回、入江冬月が藤本凜人のことを知っていると言ったことで不機嫌になり、一晩中凜人からのメッセージに返信しなかった。

実際には本当に怒っていたわけではなく、その言葉を聞いた時の心の中の不快な感覚に戸惑いを感じていただけで、それで返信をしなかったのだ。

その後、藤本凜人が特殊部門のネットワーク部にハッキングして、直接この件について説明した後、彼女は気が晴れた。

今、入江冬月が彼女の目の前で意図的に藤本凜人に話しかけたが、寺田凛奈は最初から藤本凜人を疑うことはなかった。

彼女は、お互いが好き合っているのなら、互いを信頼すべきだと思った。

さらに、この入江冬月はいつも小細工を仕掛けてくるタイプだった。

そのため寺田凛奈は眉を上げ、藤本凜人の方を振り返った。

普通、男性はどんな状況でも平然としているはずで、特に彼は心が強いのだが、この時藤本凜人は眉を上げ、驚いたような表情を作って、「あなたは?」と聞き返した。