特殊部門の全員が一斉に緊張し、それぞれが腰に手を当て、配備された銃を握りしめた。
木田柚凪は寺田凛奈より反応が遅かったが、すぐに足がふらつき、よろめきながら取調室に向かって走り出し、走りながら叫んだ。「お父さん!」
取調室内で、銃を持っているのは二人の警官だけのはずだ。誰が発砲したのか?誰が撃たれたのか?
寺田凛奈は足早に取調室へ向かった。まだ近づく前に、外で見張っていた人々が中に突入し、その先頭にいたのは何と入江冬月だった!
数人が入室した直後、取調室から入江冬月の悲鳴が聞こえた。「きゃあ!」
寺田凛奈は足を速め、入り口まで駆け寄り、急いで中を覗き込んだ。するとムヘカルが銃を手に持ち、入江冬月のこめかみに突きつけているのが見えた。
そして他の全員、倉田隊長を含めて全員が彼に銃を向けていた!
寺田凛奈はまずムヘカルの姿を確認し、撃たれた形跡がないのを見て胸を撫で下ろした。次に振り向くと、相馬さんが血だまりの中に倒れているのが目に入った。
彼女は急いで駆け寄り、相馬さんのバイタルサインを確認したが、こめかみを一発で撃ち抜かれており、救命の余地はなかった。
寺田凛奈は眉をひそめた。
そのとき、石山博義も駆けつけ、低い声で尋ねた。「何があった?!」
倉田隊長は驚愕の表情を浮かべたまま、目を赤くして怒りを込めて叫んだ。「ムヘカルは相馬さんに会いたいと言い続けていて、相馬さんに会えば真実を話すと言ったんです。だから私は相馬さんを呼びました。でも、ムヘカルは当時の殺人事件で誤判を下した相馬さんを恨んでいて、そのまま相馬さんを殺してしまったんです!!」
そう言うと、倉田隊長は銃を向けて言った。「相馬さんの仇を取ってやる!」
しかしムヘカルは入江冬月を自分と倉田隊長の間に立たせ、大声で叫んだ。「撃てば、彼女を殺す!」
倉田隊長は眉をひそめた。
誰も前に出てこないのを見て、ムヘカルはようやく口を開いた。「私は人を殺していない!相馬さんは私の上官だ。私が彼を殺すわけがない!倉田が人を殺して、私に罪を着せようとしているんだ!」
倉田隊長はそれを聞いて、静かにため息をついた。「何の上官だ?ムヘカル、これはインファナル・アフェアじゃないんだぞ?!」