倉田隊長が病院に到着すると、相馬歩人が相馬さんの病室の外で眠り込んでいるのを見つけた。
彼は警戒しながら周囲を見渡した。
長年のプロフェッショナルとして、これは石山博義と寺田凛奈による罠ではないかと疑っていた。
二人が監察部に連行されたとはいえ、倉田隊長は警戒を緩めなかった。
彼は常に敏感で疑り深く、細心の注意を払う人物だった。そうでなければ、かつて石山博義の師匠になることもなかっただろう。
表向きの短気で正直な性格は、すべて彼の演技だった。上層部に無害な印象を与え、昇進を早めるためだった。
事実、彼の策略は成功を収めた。
その外見は多くの人を欺き、警戒心を解かせた。職場での数々の罠も、彼の演じた大雑把な性格のおかげで相手に油断させ、形勢を逆転させることができた。