倉田隊長はずっと冷静さを保っていた。
彼は最初から、こめかみを撃たれた人間が生き残れるとは信じていなかった。
だからこそ、手を出さず、寺田凛奈に証拠を残すこともなかった。
しかし、事態は次第に不可解になっていった。
監察部の法医さえも、相馬さんが目覚める可能性があると言い出した。
だが、慌ててはいけない。
目覚めたとしても、以前のことを覚えているとは限らない!脳の新しい細胞に過去の記憶が残っているはずがない!
彼は我慢できずに尋ねた:「彼は以前のことを覚えているのでしょうか?」
法医は答えた:「記憶は中枢神経に存在します。神経が破壊されていなければ、記憶は残ります。相馬さんが目覚めた後の様子を見る必要がありますね!」
倉田隊長はその言葉を聞いて呆然とした。
法医はそのまま病室に入り、相馬さんの状態を観察し続けた。