第614章 藤本凜人の冷酷

入江冬月は瞳を縮め、慌てた表情を見せた。

寺田凛奈が黒猫だと知ってから、彼女は混乱し、つい多くを話してしまった。しかし、藤本凜人があの時の出来事を覚えているとは思わなかった。

藤本凜人は彼女の目に一瞬よぎった動揺を見つめ、冷笑を浮かべながら、身を引いて寺田凛奈に言った。「凛奈、申し訳ないが、お願いできるかな。」

言外の意味として、入江冬月はまだ嘘をついており、黒猫による尋問が必要だということだった。

寺田凛奈は手首を動かし、「問題ありません」と答えた。

彼女は直接入江冬月の腕を押さえ、次の瞬間、銀針が彼女のツボに刺さった。鋭い痛みが一気に襲ってきた。

入江冬月は体全体が引き裂かれるような痛みを感じ、その痛みがすべて一点に集中し、その部分の肉を抉り取りたいような衝動に駆られた。