第655章 双子か三つ子か~

寺田凛奈は電話を切り、寺田芽を見つめ、少し考えてから注意を促した。「子供をいじめちゃダメよ」

寺田芽は即座に頷き、とても素直な様子で「ママ、安心して!私と入江和夜は仲良く過ごすわ!」

なぜか、この様子を見ると、寺田凛奈は心の底から信じられない気持ちになった。

でも寺田芽が言わない以上、娘を追及するわけにもいかないでしょう?

そこで、寺田芽に大人しくしているように言い、部屋を出ると、ちょうど入江和夜の部屋から出てきた藤本凜人と出くわした。二人が顔を合わせると、寺田凛奈は眉を上げた。「どう?」

藤本凜人も少し気まずそうな表情で「寺田芽と楽しく過ごせているから心配ないって言ってた」

寺田凛奈「……」

明らかに二人の子供たちは気まずそうだったのに、どうして楽しいなんて?

でも二人とも本当のことを言わない……

彼女は尋ねた「信じる?」

藤本凜人は少し黙った後、突然言った。「子供同士の縁は、彼らのものだ。兄弟姉妹でも相性が合わないことはある。無理強いはしない方がいい」

彼は寺田凛奈が寺田芽に入江和夜に優しくするよう強要することで、かえって子供たちの心に反抗心が芽生えることを懸念していた。

寺田凛奈は子育てについては常にゆったりと、プレッシャーをかけないタイプだった。

寺田芽がゲームが好きなら、させておく。

もちろん、これは寺田芽の特殊性によるもので、他の子供がこれほどゲームに没頭するのは良くない。でも寺田芽は知能が高すぎるため、ゲームやバービー人形で気持ちを落ち着かせる必要があった。

藤本凜人がそこまで言うなら、と彼女は頷いて、藤本家を後にした。

階段を降りる時、ふと振り返ると、入江和夜の部屋から小さな頭がすばやく引っ込むのが見えた。まるで彼女に見られるのを恐れているかのように。

寺田凛奈は視線を戻したが、心の中には言い表せない感情が漂っていた。

しかし彼女はすぐにその感情を抑え込んだ。

感情で判断力を失いたくなかった。入江和夜が本当に自分の子供かどうか確定する前に、接触は控えめにした方が良い。

感情が芽生えてしまうと、面倒なことになる。