二人のボディーガードは素直に春姫の側に歩み寄った。
春姫は怯えて悲鳴を上げ、谷本蒼樹の手を握りしめた。「蒼樹、まだ赤ちゃんが小さいの。羊水検査をしたら死んでしまうわ!確認したけど、四ヶ月じゃないとダメなの!」
谷本蒼樹も怒り出し、寺田凛奈を睨みつけた。「何をするつもりだ?人の命を軽く見ているのか?!」
寺田凛奈は目を伏せて言った。「四ヶ月...時期的にはちょうどいいはずよ」
春姫が妊娠を谷本蒼樹に告げた時には、すでに三ヶ月以上経っていた。それから数日が経ち、時期は丁度よかった。
それに、リリにDNA検査の際に羊水検査もさせるつもりだった。
彼女の手技は安定していて、赤ちゃんを傷つけることもない。
この子が谷本蒼樹の子供ではないとしても、子供に関することについては、寺田凛奈は徹底的な措置を取るつもりはなかった。
たとえ子供の母親である春姫が、もうこの子を望んでいなくても。
春姫は瞳を縮ませたが、断固として認めなかった。「何が言いたいの?あなた、三原伶の友達でしょう?三原伶のために、こんなことまでするの?谷本家が誰か分かってるの?!谷本家と藤本家は深い関係があるのよ!」
彼女がそう言い終わるや否や、谷本蒼樹は即座に注意を促した。「この方が寺田凛奈だ」
寺田凛奈?
春姫の目が二度ほど揺れ、すぐに理解した。彼女は恐怖で顔色を変えた。
しかし、この時点で絶対に行くわけにはいかない。一緒に行ってしまえば、全てが終わってしまう!
だから春姫は一瞬動揺したものの、すぐに心を落ち着かせ、演技を続けた。「分かったわ。蒼樹の診断を間違えたから、今度は私たちに八つ当たりするの?蒼樹!本当にこの子を諦めるの?!医者が言ったわ、私たちの子供は男の子だって、ほぼ確実なのよ!」
民間では妊娠六週目で男女を見分ける方法がたくさんある。
その中の一つに、六週目のエコー写真を見る方法がある。長方形なら男の子、正方形なら女の子というものだ。
そしてデータもそれを裏付けていた。
だから春姫は、お腹の中の子が男の子だと確信していた。
彼女がそう叫ぶと、谷本蒼樹はさらに焦った。
二十歳の時、うっかり他人を妊娠させてしまい、その後相手の身分が低すぎたため、谷本奥様は相手に中絶を強要した。