藤本建吾はこれらすべてが入江和夜の陰謀だと思い、彼を処分せず、優しくしてしまったことを後悔していた矢先、入江和夜のその言葉が……自分に向けられていたことに気づいた?
彼は眉をしかめた。
入江和夜は既に駆け寄ってきていた。「さあ、急いで!さっき出る時に誰かがこっちに向かって来るのを見たの。早く行かないと、見つかっちゃうわ!」
二人のボディーガードはそれを聞くと、急いでタラバガニの入った籠を持ってきて、すぐさま藤本建吾を気絶させ、入江和夜を中に入れた。
入江和夜は彼女たちに逆らえず、籠の中で体を縮めた。
ちょうど藤本建吾に触れた時、藤本建吾の足が少し動いたのに気づいた。
入江和夜は一瞬驚き、藤本建吾を見つめた。
気絶していない?
藤本建吾が再び気絶させられるはずがなかった。既に彼らが睡眠薬を持っていることに気づいており、早めに警戒して、その人が近づいてきた時には息を止めていたのだ。