その言葉を聞いて、皆が呆然とした。
Y国のルーシー姫?
それは誰?
皆が一斉に藤本凜人を見つめた。一瞬、藤本家はそこまで力を持つようになったのかと思った。Y国の王室が直々に子供の誕生日を祝いに来るほどの地位になったのか?
王室は簡単には財閥と親密な関係を持たないことは周知の事実だった。
皆が感心している時、誰かが口を開いた。「藤本さん、いつからY国の王室とお付き合いがあったんですか?」
藤本凜人は眉をひそめた。他の人々のように王室の姫の来訪に緊張した様子はなく、むしろ冷静に執事に指示を出した。「お客様だ。中へご案内しなさい」
「かしこまりました!」
執事は頭を下げて部屋を出て行った。
執事が去った後、谷本奥様は寺田芽に向かって尋ねた。「あなたのおばあちゃんはどこの国にいるの?」