北島梨恵佳は眉をひそめた。「何をしているの?そんなにあわてふためいて、体裁が悪いわ!」
次の瞬間、警備員が言った。「鬼蘭が枯れました!」
北島梨恵佳はその言葉を聞いて一瞬固まり、眉をひそめながら口を開いた。「そんなはずはない!」
警備員は鬼蘭のある方向を指さしながら、唾を飲み込んで「本、本当です!」
北島梨恵佳はそれを聞くと、大股で鬼蘭の方向へ歩き出した。
佐竹璃与と寺田凛奈は目を合わせ、二人とも微笑んで後を追った。
行ってみると、さっきまで艶やかに咲いていた鬼蘭に変化が起きており、まるで水不足のように、花が徐々に垂れ下がっていた。
しかも肉眼で確認できるスピードで枯れていっていた。
北島梨恵佳が愕然とその鬼蘭を見つめている時、寺田凛奈は時計を確認して言った。「五十九分二十秒です。北島夫人、あなたの負けですね。」