第723話 対戦相手!(3話合併)

果たして、その番号を見た佐竹璃与は瞳孔を縮め、再び恐怖の感情が湧き上がった。

彼女は携帯電話を取って、すぐに電話を切ろうとしたが、手が携帯に触れる前に、骨ばった大きな手が彼女の電話を掴んだ。

佐竹璃与は急いで顔を上げ、信じられない様子で藤本凜人を見つめた。

藤本凜人は彼女の目を見つめ、その眼差しは断固としていた。彼の声は落ち着いており、まるで佐竹璃与を守れるかのようだった。「僕がやります」

佐竹璃与は首を振った。

彼女はとても怖かった。

藤本家は確かに強いが、国際的な何百年、時には千年以上の蓄積を持つ家には及ばない。

彼女は唾を飲み込んで言った。「凜人、やめましょう」

藤本凜人は彼女の恐怖を理解できた。母は彼女一人のために藤本家に影響が及ぶことを心配していたが、彼女は知らなかった。彼にはもう一つの身分があり、それは彼に何も恐れることのない力を与えていた。

しかし、その身分はある理由で明かすことができなかった。

そこで、彼は頭を下げて言った。「母さん、怖がらないで」

この四文字を残し、彼は携帯電話を取って立ち上がり、直接電話に出た。電話の向こうから、あの聞き心地の良い低い男性の声が聞こえてきた。「璃与、約束を破ったな」

寺田凛奈は佐竹璃与の傍に立っていた。

彼女は佐竹璃与の肩を支え、じっと藤本凜人を見つめた。

藤本凜人は電話に向かって言った。「今からは、私がその約束を履行します」

当初の約束は、佐竹璃与が郊外の別荘で孤独に余生を送ることが、彼女への罰だった。もし彼女が我慢できずに息子に近づけば、野村智弘は藤本家と藤本凜人に報復するというものだった。

藤本凜人が今、その約束を自分が履行すると言ったことで、相手は即座に彼の意図を理解した。

野村智弘は冷笑した。「ふん、あの頃の弱虫な小僧が、大きくなって羽が生えたというわけか?それなら、叔父さんが人生を教えてやろう」

この言葉を聞いて、佐竹璃与は慌てて飛びついて叫んだ。「野村智弘、私に向かってくるならいいけど、子供には手を出さないで、あなた…」

言葉が終わらないうちに、野村智弘が口を開いた。「佐竹璃与、もういい加減にしろ!」

佐竹璃与は一瞬固まった。