第752話 Qの正体がバレた！

志村の言うことはもっともだった。

倉田健祐は彼の言葉に何も言えなくなり、うつむいて呟いた。「でも、私たちから接触すれば、外からは私たちが怖気づいているように見えるじゃないですか。」

積極的に接触するのは、まるで許しを乞うているようだった。

志村は彼を見て、本当にどう言えばいいのか分からなかった。

彼は最後に藤本凜人の方を向いて尋ねた。「社長、どうお考えですか？」

藤本凜人は、このような根拠のない面子のために状況を把握せずに敵を作るようなことはしないだろう。

ビジネスの第一原則は、和を以て貴しとなすことだ。

藤本凜人は指でソファを叩きながら、表情は穏やかだった。野村智弘が寺田凛奈の不倫を断定したことに少し腹を立てていたが、理性は保っていた。

彼はゆっくりと言った。「問題は、聞きに行っても、彼らが教えてくれるかどうかだ。」

志村は眉をひそめた。

これも彼が心配していた状況だった。

野村智弘側は今や明らかに敵対的で、話す気もない様子で、彼らを完全に潰そうとしている感じだった。この時点で志村に頭を下げさせて尋ねさせても、野村智弘は話す気にもならないだろう。

藤本凜人は志村が眉をひそめている様子を見て、最後に笑った。「何を急ぐことがある？あのクライアントたちに、もう少し待つように伝えろ。我々が聞きに行かなくても、自然と誰かが代わりに真相を突き止めてくれる！」

倉田健祐はこの言葉を聞いて困惑し、尋ねた。「社長、誰が私たちの代わりに聞きに行くんですか？」

志村：「……」

藤本凜人：「……」

藤本凜人は倉田健祐を無視し、書類を見ながら仕事の処理を続けた。

一方、志村は口角を引きつらせながら、うつむいて言った。「どうすればいいか分かりました。」

倉田健祐はまだ理解できていなかった。「志村、何が分かったんだ？お前と社長はまた何か暗号でも話してるのか？！」

志村：「……お前はお世辞を言っているだけでいい。」

倉田健祐は即座に注意を逸らされた。「くそっ、志村、お前殴られたいのか？お世辞を言ってるのはお前だろ、お前の家族全員がお世辞屋だ！俺は学歴と能力で評価されてるんだぞ？」

「……」

二人は言い争いながら藤本グループを出た。

外に出ると、志村は前方を歩く藤本修也を見かけ、突然足を止めた。