北島梨恵佳の言葉が終わると、藤本奥様は即座に怒鳴りつけた。「何の説明が必要なの?寺田凛奈は寺田家で育ったわけでもないのに、寺田家に何の責任があるというの?余計なことを言わないで!婚約を解消したとしても、寺田家との協力関係は変わらないわ!子供たちは二人の子供で、寺田家の孫なのよ!」
藤本家は寺田家に取り入る必要はなかったが、寺田家が藤本凜人を支持してくれれば、孫の将来はより順調になるはずだった。
藤本凜人が息子に勝った瞬間から、藤本奥様の心は藤本凜人に傾いていた。
彼女は、藤本修也のために証言に立った瞬間から、孫が心を離してしまうことを知っていた。しかし、彼女のしたことは全て藤本家のためだった。
藤本凜人は藤本奥様が手塩にかけて育てた子供で、息子と孫への愛情は同じだった。