第770話 生きるか死ぬか

寺田凛奈と藤本凜人は暗号を見つめ、黙って少し言葉を失った。

その暗号には数字の列と銀行名、そして貸金庫の番号だけが記されていた。

これは、母が貸金庫に何かを残したということを意味していた。

遺伝子薬剤V16なのだろうか?

寺田凛奈は眉をひそめて考え込んだ。

藤本凜人も口を開いた。「いつ取りに行く?」

寺田凛奈は彼と目を合わせ、もう一度その銀行名を見つめた。

母が物を置いた場所は京都銀行だが、もし彼らが戻って京都銀行に行けば、ずっと彼らを追跡している人たちに気付かれてしまうだろう。

しかし、自分で行かずに人を遣わせれば、母が何か罠を仕掛けていた場合、相手が気付かずに引っかかってしまう可能性もある。

だから今の最大の課題は、彼らを追跡し監視している人が何人いるのかを確認し、どうやって彼らから逃れるか……