寺田凛奈はカーテンを引き、ソファに座り、携帯電話を握る指に少し力を込めた。
昨夜の出来事が、再び目の前に浮かび上がった。
藤本凜人が彼女を押し出した時、彼女の耳元で五文字を囁いた:「凛奈、信じて」
黒服の男が現れてから、彼女と藤本凜人が銀行の貸金庫室に現れるまで、一分一秒が急いでいて、彼女と藤本凜人は一言も交わすことができなかった!
その瞬間、彼女は彼への信頼だけを頼りに、部屋を出た。
そして、鉄の箱が飛び出してきて、彼女は服の中に隠したが、振り返ると、藤本凜人が鉄の扉を閉める瞬間だった。
中からの轟音と、鉄の扉がカチッと閉まる音は、まるで巨大な岩のように、彼女の心に重くのしかかった。
彼を信じて……
しかし、石山博義たちが焼け焦げた遺体を運び出した時、彼女はまだ信じられず、心が落ち着かなかった。