北島梨恵佳がそう言うと、全員が一斉に医者の方を見た。
寺田凛奈は医者の真正面に立ち、その医者の口元を見つめていた。すると医者は一言一句はっきりと口を開いた。「……寺田さんから提供されたDNA標本により、確かに藤本凜人さんであることが確認されました。」
「……」
その一言で、その場は静まり返った。
全員が信じられない様子で医者を見つめた。
寺田凛奈は冷静な表情で、杏色の瞳を伏せ、何かを考えているようだった……
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藤本家の邸宅の門前には、大勢の人々が群がっていた。
数台の車が到着した。
寺田凛奈が最初に車から降り、門前の藤本奥様が一歩前に出て、震える手で尋ねるのを見た。「寺田凛奈、凜人は?あの遺骨の照合結果は、凜人ではないんでしょう?」
寺田凛奈は黙したままだった。
「ちっ!」