第787話 商業陰謀?

寺田凛奈は少し戸惑った。

藤本奥様が彼女にお金をくれたのは、彼女の「悪友たち」を信用していなかったからだ。でも、寺田真治は帝国同盟グループにいるじゃないか?Kingがグループで言ったあの言葉を、彼は見なかったのだろうか?

金が将来値上がりするということは、Kingがグループで言ったことだ。彼はそれを見て知っているはずなのに、なぜお金を持ってきたのだろう?

寺田凛奈は突然何かに気づき、木田柚凪に向かって尋ねた。「うん、父は?」

木田柚凪は答えた。「お父さんは最近あなたの様子をとても気にかけているけど、今回はお金を出さなかったわ。今日来た時に会ったけど、この件については何も言わなかった。きっと思いつかなかったんじゃない?どう?お金は足りてる?私のところにもあるし、お兄さんのところにもあるわ。いくら必要?」

寺田真治が寺田亮の息子となり、木田柚凪も自然と義理の娘となった。

だから今では、木田柚凪も寺田亮のことをお父さんと呼んでいる。

木田柚凪の言葉を聞いて、寺田凛奈は突然何かを理解した。

そのアカウントは、今でも寺田亮が使っているのだ。お兄さんにアカウントを渡したはずなのに、なぜまた取り戻したのだろう。本当に…

寺田凛奈はそう考えながら、目を伏せて、ゆっくりと口を開いた。「お兄さんは最近どう?」

木田柚凪はその言葉を聞いて、寺田凛奈を見つめ、しばらくしてから溜息をついた。「実は、言うべきかどうか迷っていることがあるの。」

寺田凛奈は言った。「私たちの間に、言えないことなんてあるの?」

二人はアメリカにいた時から、すでに親友だった。

木田柚凪は今、寺田真治と一緒に幸せで甘い生活を送っている。真由美という可愛い子もいて、彼女の昔の短気な性格も改善され、少なくとも自分のことを「お姉さん」と呼ぶことも少なくなった。

しかし彼女は元来率直な性格なので、思ったことをそのまま言った。「実は、あなたが帰ってきてから、真治とお父さんの間には少し微妙な空気があるの。以前、お父さんは寺田家の株式を全部真治に渡したけど、今あなたが戻ってきて、お兄さんは家でよく、寺田家の全ては本来あなたのものだと言っているわ。」