第789章 彼女の友達

朝の七時、寺田凛奈は藤本奥様に起こされた。

以前なら、彼女はすぐに怒り出していただろう。起床時の機嫌が非常に悪かったからだ。しかし今は、心の中でどれほど不満があっても、藤本奥様の年老いた表情と、以前よりも衰えた様子を見ると、黙って起き上がるしかなかった。

そして、藤本奥様の監視の下、外へジョギングに行った。

藤本奥様は傍らで言った。「汗をかいたら止めていいわ。汗をかかないなら、八時まで走り続けなさい。そうすれば人は元気に見えるものよ。あなたはいつもぐったりしているけど、それは運動不足のせいね。」

「……」

寺田凛奈は大きくあくびをし、まぶたが重くて上がらないほどだった。

藤本奥様はまだ話を続けていた。「目を開けることはできないの?そうでなければ、藤本グループのあの人たちをどうやって威圧するつもり?今日は皆があなたの失態を待ち構えているのよ!」

寺田凛奈は再びあくびをした。

藤本奥様は彼女が何度もあくびをするのを見て、さらに心を痛め、思わず吉川に話しかけた。「凜人はいつも自律的な人で、毎日十一時に寝て、五時に起きて運動していたのに、どうしてこんな怠け者の嫁を気に入ったのかしら?」

吉川はため息をついた。「口では嫌がっているようですが、行動では彼女を励まし続けていますよね。」

藤本奥様は言った。「もちろん励まさないといけないわ!そうしないと、彼女がストライキを起こしたらどうするの?建吾のためにも、彼女に藤本家への帰属意識を持ってもらわないと!」

吉川は黙っていた。

藤本奥様は再び口を開いた。「ただ、彼女が将来再婚するかどうか分からないわ。もし再婚したら、死後に凜人と一緒に埋葬されることができるのかしら?凜人一人では、あまりにも寂しすぎる……私が悪かったわ。以前は彼が強いだけでいいと思っていた……」

人がいなくなってから、初めて気づくのだ。生きているだけで、実はどんな状態でもよかったのだと。

人は往々にして失ってから、初めて大切さに気づくものだ。

それは、親が子供に一番を求めるのと同じで、体調に問題が出てから初めて、健康が一番大切で、幸せが一番大切だと悟るようなものだ。

藤本奥様の藤本凜人に対する気持ちも、まさにそうだった。

吉川はこれらの言葉を聞いて、再び静かにため息をついた。