第841章 礼は不要です

ライスはちょうど先頭を歩いていて、今は背中を後ろの人に向けていたので、彼の部下たちは実際に彼の表情を見ていなかった。

坪井はプロジェクト部の新人に過ぎず、このように叱られた後、すぐに頭を下げた。

彼が寺田凛奈のために弁護したのは、確かに私心があったので、反論する勇気もなかった。

心の中では、「終わった、これでライス社長の側近である一番の重要人物を怒らせてしまった、これからは会社での居場所がなくなるだろう」と思っていた。

おそらく昇進したばかりの職位も、すぐに取り消されるだろう。

しかし彼はそれでも口を開いた：「誤解されています、私はただリサを知っているだけで、彼女は信頼できない人ではありません、彼女は…」

ライスの側近はまだ彼を叱っていた：「プロジェクトを行うのに、これらの外部要因を見るのではなく、プロジェクト自体を見るのだ！康之、お前はリサと知り合いなのか？それならお前は人を見る目がないということだ！お前はプライベートと仕事を区別できていない、プロジェクト部にいる資格はないと思うぞ！」

坪井：！！

彼は本当に降格されるのだろうか？

彼はもう泣きそうだった、やっと北島の調査で自分は難を逃れたのに、今また失業の危機に直面しているなんて？

坪井が落胆して考えている時、ライスはようやくゆっくりと振り返った。

彼は顔を真っ黒にして自分の側近を睨みつけた。

ライスの部下は彼の表情を見て、さらに誤解し、すぐに口を開いた：「ライス社長、怒らないでください、こんな新人は、私が今後注意します、私は…」

言葉が終わらないうちに、ライスの手にあった書類カバンが彼の頭に叩きつけられた：「新人？私から見れば、この新人の方がお前よりも度胸があるぞ！」

この言葉が出ると、現場の人々は寺田凛奈を除いて、全員が頭の上に疑問符を浮かべた：？？？

坪井も急に顔を上げ、信じられないという表情でライスを見た。

ライスは怒鳴った：「お前は年を取ったな、若者の視点についていけなくなったようだ、この新人は、とても良い表現をしていると思う！うん、私もこのプロジェクトには将来性があると思う！だから、このプロジェクトに投資する！」

ライスの部下は呆然とした。

実際、彼は何も間違ったことをしていなかった。

結局、高岡佳澄のプロジェクトは確かにあまりにも信頼性がなかった。