花の子

マリアがレッドを地下牢に投げ込んだ後、やっと深い息をつくことができた。

彼女は群れの本部に戻り、今まで食べられなかった食事を全て平らげ、満足するまでワインを飲んだ。

敵が自分の足元にいると知ることで、気分がずっと良くなった。

彼女は自身が重度の妊娠中であることも気にしないほど、冷酷で邪悪だった。

彼女はレッドに去る機会を与えたのに、聞く耳を持たなかった。

彼女の計画は順調に進んでいた。

ベイルが戻ってくる頃には手遅れになっているだろう。彼女はレッドが泥棒だと告げ、彼女の寝室からネックレスを見つけた護衛を呼ぶつもりだった。

そして彼女は単に群れのルールに従っただけなのだ。

彼にはどうすることもできないだろう。

彼女は彼のつがいであり、妻なのだから。

マリアこそが、レッドの寝室にネックレスを仕掛けた張本人だった。

全て彼女の計画で、レッドは見事に罠にはまったのだ。

ベイルの最高司令官の一人であるエリカが、食堂に押し入ってきた。

彼女はテーブルを強く叩いた。

「何故あの女を閉じ込めたんだ?」エリカは怒りに任せて詰問した。

「よくも私の食堂にこんな無作法な態度で入ってこられたものね!」マリアは噛みつくように言い返した。「失礼する前に出て行きなさい。」

「あなたなんか知ったことじゃない。」エリカはマリアを指差した。

エリカはマリアの手から杯を払い落とし、それは床に落ちて砕け散った。そして彼女はマリアの顔を両手で掴み、強引に自分の方を向かせた。

「私はあなたが嫌いよ。最初から嫌いだった。」エリカは言った。「アルファのためだけに我慢してきたの。ベイルは私にレッドの面倒を見るよう命じた。あなたが彼女に対してどんな感情を持っているかは知らないけど、私への命令に口出しはさせない。」

マリアは強引に顔を引き離し、痛む頬を撫でた。

ここの全員があの売女のせいで、自分を笑い者にしていた!

「私はルナよ。アルファ不在の時は、私が次の指揮権者なの。」マリアは吐き捨てるように言った。「そしてあなたのレッドは窃盗の罪で有罪よ。護衛に聞いてみなさい。彼らが見つけたのよ。私は単に群れのルールに従っただけ。」