第313章 墨社長は蜂や蝶を引き寄せすぎる

「お、奥様?」少女は呆然とし、その後心が砕けてしまった。

  こんな極上のイケメンが、すでに奥様がいるなんて。

  隣にいた他の女の子たちも残念そうな表情を浮かべたが、すぐに考え直した。こんなに条件の良い男性なら、たくさんの女性が争って欲しがるのも当然だ。

  このような男性の周りには、常に無数の女性が取り巻いているものだ。

  晩婚族になるはずがない。

  彼の奥様がどんな顔をしているのか、目を楽しませるような大美人なのかどうか知りたいものだ。

  男性が奥様のことを話し始めた瞬間、彼の目元は途端に優しくなり、もはや人を遠ざけるような態度ではなくなった。

  しかも、自ら花屋に来て奥様のために花を選んでいる。

  きっと、彼は奥様のことが大好きなんだろう。

  数人の若い女の子たちの目には、羨望の眼差しが浮かんでいた。

  これらの女の子たちも厚かましくはなく、墨夜司に家庭があることを知ると、もう執着しなくなった。

  車の中で。

  魏徵はこの光景を見て、彼の墨社長の魅力が本当に並外れていることに密かに感心した。

  どこに現れても、大勢の女性を引き付けてしまう。

  やはり、彼が車から降りて買い物に行くのが一番良いと思った。

  結局のところ、墨社長のあの顔は蜂を引き寄せすぎるのだ。

  「いらっしゃいませ、ようこそ。」

  墨夜司が花屋に入ると、店員がすぐに迎えに来た。

  墨夜司の姿を目にした瞬間、明らかに一瞬怯んだ。

  男性は黒い服と黒いズボンを身にまとい、すらりとした長い脚が特に目を引いた。深みのある立体的な五官は彫刻のように美しく、シンプルな服装でも内側から漂う気品を隠しきれなかった。

  男性の外見があまりにも優れているため、店員は数秒間呆然としてしまった。

  彼女が男性の低く磁性のある声を聞くまで。「女の子が好きそうな花を選んでください。プレゼントします。」

  店員は心臓の鼓動が少し速くなり、顔を赤らめながら尋ねた。「お客様、どなたにプレゼントされるのでしょうか?同僚さん、お友達、それとも...」

  「私の奥さんです。」

  男性が「私の奥さん」という三文字を口にした時、その口調はさらに優しくなり、かすかな甘やかしが滲み出ていた。