宮澤離は顔色を変え、薄い唇をより一層固く結んだ。
頭上の明かりが、妖艶さと邪悪さを帯びた美しい顔に照らされ、彼の目の中の暗さをより一層際立たせ、少し不気味に見えた。
もし彼がこれほど美しい容姿を持っていなければ、今の彼の眼差しと表情は、間違いなく人を泣かせるほど怖いものだったはずだ。
「柔柔のことか?」
彼が話そうとしないので、言少卿が代わりに言った。「柔柔が二番目の兄さんを好きだということを知っているだろう。二番目の兄さんがお兄さんの奥さんと結婚したことで、柔柔はとても辛い思いをしている。だから、あなたはお兄さんの奥さんを嫌いになったのか?」
宮澤離は唇を固く結び、脇の手をますます強く握りしめた。
言少卿は彼の表情を見て、首を振り、非常に不賛成な口調で諭した。「四さん、それは正しくないよ。お兄さんの奥さんは何も悪いことをしていない。ただ二番目の兄さんと結婚しただけで、あなたにそんな扱いを受けるなんて、それは公平だと思うのか?」
「彼女と結婚するのは二番目の兄さんの意思だし、二番目の兄さんも自分の意思でそうしたんだ。柔柔のために抗議するにしても、筋は通してほしい。柔柔が二番目の兄さんを好きだからといって、二番目の兄さんは他の女性を好きになってはいけないというのか?」
「私たちは皆よく分かっているはずだ。二番目の兄さんは柔柔に対して恋愛感情を持ったことは一度もない。彼と結婚する相手がお兄さんの奥さんでなくても、永遠に柔柔にはなり得なかったんだ。」
宮澤離は唇を固く結んだまま、何も言わなかったが、目には迷いの色が浮かんだ。
言少卿の言う道理は、彼だって分かっていた。
ただ、沈柔は彼にとってあまりにも大切で、特別な存在だった。
彼女が悲しむのを見るのが耐えられなかった。
誰かが彼女を悲しませたら、その人は宮澤離の敵となるのだ。
「四さん、正直に答えてくれ。もし柔柔のことがなければ、お兄さんの奥さんを嫌いになっていただろうか?」
言少卿はこの問題をきちんと解決しなければならないと感じた。
そうしなければ、長年の兄弟の情に影響が出てしまう。
墨夜司も宮澤離も、彼の親友だ。
どちらも失いたくない。
さらに、このような事で四人の関係に影響が出るのも望まない。