第463章 あなたはどうして彼女を嫌いになったの?

「四さん、四さん?!」言少卿が数回呼びかけたが、隣の人から何の反応もなく、顔を上げて見ると、宮澤離が呆然としているのが見えた。

何を考えているのか分からないが、とても深く考え込んでいるようだった。

言少卿は呆れて、彼の目の前で手を振った。「四さん、戻ってきて。何を考えていたの?」

宮澤離はようやく我に返った。

彼の目はまだ少し虚ろで、目には戸惑いと困惑の色が浮かんでいた。そして、沈柔の方を一瞥した。

十歳の時の記憶は、多くのことが鮮明には覚えていなかった。

しかし、あの甘い香りだけは、彼の嗅覚に深く刻み込まれていて、これほど年月が経っても、まだ覚えていた。

あの夜、沈柔が付けていた香水が何だったのか、もう覚えていない。

しかし、それ以来、沈柔はあの香水を二度と使うことはなかった。