墨奥様は涙とよだれを垂らしながら、沈柔と電話で話していました。「柔柔、あなたの言う通りよ。あの女は本当に腹黒いわ。おばあさまは今、彼女のことをとても気に入って、まるで実の孫娘のように可愛がっているの。他人が何か言おうものなら許さないわ」
「おばあさまが彼女を庇っているから、私という姑のことなど眼中にないのよ」
「このままじゃ、もう少ししたら、この家で私の立場なんてなくなってしまうわ。嫁が私の頭上に乗るようになるのよ」
向こうで何か言ったようで、墨奥様は聞きながら表情がますます暗くなり、目からの涙も増えていきました。
「今は誰も私の言うことを信じてくれないの。私が無理難題を言っているって思われているわ。司くんに至っては彼女に夢中で、彼女の味方ばかりして、少しも疑うことをしないの。やっぱり、こういう庶民出身の女は手強いわ。頭の中は打算ばかりで、手口も巧妙よ。司くんは仕事では優秀で、同年代で彼より優れた人を見つけるのは難しいけど、恋愛面では損をしているわ。経験が全くなくて、そんな腹黒い女に騙されてしまったのよ」