中から手が伸びてきた。
喬綿綿は思わず一歩後ずさりした。
しかし、その伸びてきた手は、彼女をしっかりと掴んでいた。
彼女は「あっ」と驚きの声を上げ、強い力で部屋の中に引っ張り込まれた。
同時に「バン」という音とともにドアが閉まり、彼女は誰かに掴まれたままドアに押し付けられた。
目の前の姿は背が高くすらりとしており、目に入ってきたのは一面の黒だった。喬綿綿が誰に引っ張り込まれたのかを確認する間もなく、顎を掴まれ、男の情熱的で強引なキスが降りかかった。深く、激しく彼女にキスをした。
彼女は恐怖に目を見開いて:「んっ……」
抵抗しようとした瞬間、馴染みのある香りが鼻をくすぐった。
黒く潤んだ瞳の中で、恐怖が驚きに変わった。
この香り……
墨夜司だ。
どうしてここに。
彼女の疑問は数秒しか続かなかった。男の次第に熱くなるキスに夢中になり、頭と胸の中の酸素が徐々に少なくなり、視線もぼんやりしてきた……
彼女は立っていられなくなりそうに下に滑り落ちそうになったが、男に腰を抱かれ軽く持ち上げられ、彼の胸に強く押し付けられた。
これは罰としてのキスだった。
極めて深く絡み合うような。
喬綿綿はドアに押し付けられたまま十数分もキスされ続け、体が水のように柔らかくなり、酸欠で気を失いそうになった時、墨夜司はようやく息を荒げながら彼女から離れた。
彼の漆黒の瞳には強い欲望が渦巻いており、灼熱の視線が抱きしめている少女の、キスで赤く腫れた魅惑的なピンク色の唇に落ちると、瞳の色がさらに暗くなり、目の奥の欲望も深まった。
本当に……一口で彼女を食べてしまいたい。
神様も知っているだろう、たった一日離れただけなのに。
彼女への思いがこれほどまでに深くなっているなんて。
喬綿綿は彼の胸に寄りかかったまま、長い間息を整えてようやく落ち着いた。
彼女の目には霞がかかったような光があり、潤んだ黒い瞳を上げて彼を見つめ、まるで夢を見ているような感覚だった:「墨、墨夜司、どうしてここに来たの?あなたは……」
仕事中じゃないの。
今日は週末でもないのに。
どうして彼女に会いに来る時間があるの?
それに、来るなら事前に一言言ってくれればいいのに。
さっき、部屋に引っ張り込まれた時は、本当に死ぬほど驚いた。
「ベイビー、会いたかった。」