第299章 メスを王城に招く

しかし、獣の世界では、これが最良の方法だった。

米の汁とは違い、麦ぬかを濾さない小麦の汁は色が少し暗めだが、触り心地は同じく滑らかだ。これが市場で言う「全粒粉」だ。

小麦の汁を30分沈殿させた後、上層の澄んだ水を捨てると、残った小麦の汁はすでにかなり粘り気がある。平らな大きな石の上に広げて日光にさらせばいい。

ここ数日の日差しは非常に強く、小麦の汁は一日干せばほぼ乾き、一塊一塊になり、軽く押すだけで粉状になった。

虎王城の裏庭は石で一杯で、すべてに小麦の汁が干されていた。5日後、小麦の3分の2が薄茶色の小麦粉になり、残りの3分の1は種として残された。

6袋の小麦を粉にしても4袋しか入らなかった。家に大袋の小麦粉がたくさんあるのを見て、白箐箐の口元に恨みを含んだ冷笑が浮かんだ。

猿王に一撃を与える時が来たようだ。

メスは米の汁が好きだって？これは肉食のメスも澱粉食品を受け入れるということを証明している。

白箐箐は小麦が米に劣るとは思わなかった。むしろ、小麦はより多くのバリエーションが作れ、味わいも豊かで、料理の種類が少ない獣の世界には単一の米よりも適していると考えた。

さらに、小麦は稲よりも栽培しやすい。もし小麦粉がメスたちに広く受け入れられれば、文森の影響力は間違いなくさらに上がるだろう！

「文森、萬獸城のメスたちを呼んでくれ。」

「わかりました。」文森は何も質問せずに、大股で出て行った。

しばらくすると、外から鼓膜を震わせるような低い虎の咆哮が聞こえてきた。

白箐箐は指先で小麦粉を少しつまみ、人差し指ではじくと、粉塵が空気中に漂った。

「パーカー、火を起こしてくれないか。」白箐箐は振り返って笑いながらパーカーに言った。「正殿で大鍋を温めて、メスたちに小麦粉のスープを作ろうと思うの。」

パーカーは白箐箐の笑顔に心臓の鼓動が一拍抜けたように感じ、考えもせずに同意した。「わかりました。」

部屋に駆け込んでから、白箐箐が自分の食べ物を部族のメスたちに分けようとしていることに気づいたが、後悔しても遅かった。

裏庭では、カーティスが洗った石臼を抱えて戻ってきた。

白箐箐は言った。「後で大勢の人が来るわ。二階に上がっていて。」

カーティスは石臼を壁際に立てかけ、言った。「君のことが心配だ。裏庭にいるよ。」