第8章 クジャク族

「もう一匹捕まえてくるわ。大したことじゃないから」ムーアは優しく言った。

白箐箐の表情は更に苦しそうになった。

あなたは大したことないかもしれないけど、私は大変なのよ。トイレに行きたいわ！

「お腹が空いたの？」ムーアは長い腕を伸ばし、肉まんのような橙色の果物を取って、「まずは蜜果を食べて、すぐに狩りに行ってくるから」

「ちょっと待って！」白箐箐はムーアが変身しようとするのを見て、急いで彼の手首を掴んだ。

ムーアの全感覚は左手首に集中し、上の空で「うん？」と返事した。

白箐箐はもごもごと、しばらくしてから声を出した。「下に連れて行って欲しいの。私、その...」

白箐箐はお腹を更にきつく押さえ、眉を上げて、ムーアに「分かるでしょ」という目つきを送った。

ムーアは思わず微笑み、口角が緩んだが、白箐箐が怒ったように睨んできたので、表情を引き締めて鷹の姿に変身した。

この辺りは草原が多く、小さな森も点在していた。空から見ると小さく見えたが、中に入ると広大な空間だった。

白箐箐の習慣に従って、ムーアは植物が密生している森の一角に彼女を連れて行き、生理的な問題を解決した後、白箐箐は全身がすっきりした。

何日も動いていなかったので、白箐箐は関節が固まったように感じ、体を伸ばしながら言った。「お腹空いてる？」

「空いてないよ」とムーアは答えた。

「じゃあ、狩りは後にして、少し散歩でもしない？」白箐箐は前を歩きながら、周りの植物を適当に眺め、食べられるものを探そうとした。

「いいよ」

しかし白箐箐はもともとあまり植物に詳しくなく、歩いてみても全て雑草に見え、興味を失った。

「ここにはタカ族だけが住んでいるの？他の獸人はいないの？」白箐箐は話題作りに尋ねた。

ムーアは長身で長い足を持っており、白箐箐の後ろを小刻みに歩いていたが、その歩みにも鋭さが感じられた。

「帰り道で気付いた森があるだろう？」ムーアは手を上げてある方向を指さした。

白箐箐は尋ねた。「一番大きな森？」

「うん、あそこにはクジャク族の一群が住んでいて、独立した部族だ」

「クジャク族か」白箐箐はあの緑豊かな森を思い出した。見た目からして生命力に溢れ、種の多様性も豊かに違いない。