「でも、そこにはまだ蛇獣の匂いが残っている」と、誰かが言った。
白箐箐は「見に行きましょう」と言った。
狼王が発見された場所は通りの角の日陰で、カーティスは白箐箐に、二日前の狩りの時にここで日差しを避けていたと説明した。
白箐箐は皆に真実を話し、素朴な性質を持つ獣人たちはその説明を受け入れた。
一行の獣人たちは狼王城に戻った。
「カーティスでないなら、誰が狼王を殺したのだろう?放浪獣の侵入があったのか?」獣の群れからそのような声が聞こえてきた。
カーティスの嫌疑が晴れたので、白箐箐は安心して狼王の遺体の傍に歩み寄り、隣にいたメスが涙ながらに言うのを聞いた。「彼が死ぬ前に、猿王が彼を訪ねてきました」
「やっぱり奴だったのね!」白箐箐は憤りを込めて言った。
メスは首を振り、目から再び涙を零しながら言った。「警備の獣人たちが、二人が別々の方向に分かれて行くのを見ていたのですが、その時には…」
「その時には何?」白箐箐は追及した。
「私が感じるに…その時すでに死んでいたと思います」彼女は首を振りながら言った。「たぶん、警備の言う時間が間違っていたのでしょう」
白箐箐にも理解できなかったが、とにかく狼王の死には猿王が関係しているはずだと思った。彼以外に誰が毎日トラブルを起こすというのか?
文森はありえない、豹王については…でも豹王に何の得があるのだろう?カーティスを殺して自分の息子に白箐箐を独占させるため?
一妻多夫制を一般的に受け入れている獣人がそんなことをするはずがない。それに、豹王はパーカーをそれほど気にかけているようには見えない。オスにとって最も重要なのは常に自分のパートナーなのだから。
「猿王はどこにいるの?」白箐箐は尋ねた。
「カーティスが彼を殺そうとしているので、隠れています」とメスは答えた。
白箐箐が何か言おうとした時、カーティスは彼女を抱き上げ、胸に抱きしめた。「このまま続けていたら夜明けになってしまう。寝に戻ろう」
促されて白箐箐は大きくあくびをし、目に疲れの涙が浮かんだ。「じゃあ私たち戻ります。お気を落とさないでください」
……
月明かりの下、琴は自分の深い青色の腰まで届く巻き毛を梳かしていた。聞き慣れた足音を聞くと、淡々と言った。「やっと戻ってきたの?」