「嚴おじさん、今ちょっと困ったことがありまして、助けていただきたいのですが」顧寧は簡単に事情を説明し、嚴正霖に警察署に話をしてもらうことを願った。
嚴正霖はそれを聞くと、すぐに真剣な様子で言った。「分かった、ちょっと待っていてくれ。すぐに指示を出す」
「ありがとうございます、嚴おじさん。それと、もう一つ直接お話ししたいことがありまして、嚴おじさんの都合の良い時に伺わせていただきたいのですが」顧寧は少し真剣な口調で言った。
直接会って話す必要があるということは、明らかに顧寧の話す内容は普通のことではないようだった。
「よし」嚴正霖は応じた。
顧寧との電話を切った後、嚴正霖はすぐに公安局長の李峰に電話をかけ、李峰はすぐにその地区の派出所に電話をした。
前後5分も経たないうちに、車がまだ派出所に到着していない時点で、その隊長は所長からの電話を受けた。
電話が繋がるとすぐに、向こうから所長の怒り狂った声が響いてきた。「張超、顧寧という女の子を捕まえたのか。もしそうなら、すぐに釈放しろ」
声が大きすぎて、車内の全員が聞こえた。
隊長の張超は一瞬固まり、顧寧を見た。顧寧は笑うだけで何も言わなかった。
「しかし、鴻運グループの方が...」張超は誰が所長に電話したのか分からなかったので、念のため言おうとした。
「鴻運グループがどうした?これは局長が直接私に電話してきたんだ。しかも局長は市長からの電話を受けたんだぞ」所長は言った。
これには張超も驚いた。市長だって。
さっき、この女の子が相手のことを嚴おじさんと呼んでいた。市長は確か嚴という姓ではなかったか。
なんてこった!この女の子、とんでもない身分の持ち主だったんだ!
「はい、はい、すぐに釈放します」張超はもう一言も余計なことは言えなかった。
所長との電話を切った後、すぐに運転している警察官に車を路肩に停めるよう指示し、顧寧に恐る恐る言った。「あの、顧お嬢様、もうお帰りいただいて結構です」
顧寧も彼らを困らせることはせず、すぐに車を降りたが、去る前に一言付け加えた。「この件は市長も知っています。労働者と警備員の件は、徹底的に追及するか、私的に解決するかですね。徹底的に追及するなら、間違いは鴻運グループにあります」
言い終わると、顧寧は立ち去った。