第055章 みんなが彼に女の子の口説き方を教えたがる

かつて彼は秦沐風に、人を好きになるのはどんな感じかと尋ねたことがあった。秦沐風は、その人に出会えばわかるよと答えた。

当時、彼はその言葉があまりにも抽象的だと感じた。

寧夕に出会ってからようやく、それが真理だということがわかった。

「おめでとう!多くのアセクシャルの人は一生そんな人に出会えないかもしれないんだからね!」秦沐風は心から古い友人を祝福した。

異性愛、同性愛、両性愛のほかに、この世界にはもう一つの性的指向がある。それは「アセクシャル」と呼ばれている。

アセクシャルとは、身体に問題があるわけでもなく、性的指向が不確かなわけでもなく、親密な関係を恐れているわけでもない。簡単に言えば、「性愛に興味がない」ということだ。

この問題のために、5年前、彼のははは陸景禮に薬を飲ませようとしたこともあった...

「これは二重の喜びだね。いつ結婚式に呼んでもらえるんだ?」秦沐風はからかった。

「頑張ってるところだ。」この問題に触れると、いつも負け知らずの陸霆驍の顔に珍しく不確かな表情が浮かんだ。

秦沐風は驚いた。「まだ進行形なのか、陸社長が出馬すれば過去形になってると思ってたよ。君が気に入る少女は本当に並じゃないんだな!それで、今回僕を呼んだのは、少女の追い方を教えてほしいってこと?実践経験は二少さまには及ばないけど、理論経験なら豊富だよ!」

なぜみんな彼に少女の追い方を教えたがるんだろう?

陸霆驍は顔を少し曇らせて言った。「それは結構だ。君を呼んだ主な理由は、彼女の出現が坊ちゃんにどんな影響を与えるか確認したかったからだ。」

冗談が終わると、秦沐風は本題に入った。「こういうことだ。何事にも両面性がある。これは良いことだけど、君も言ったように、坊ちゃんは彼女に会うために家中を壊してしまった。だから重要なのは、君がどうやって導いていくかだ。

君の私心からかどうかは別として、彼女を一時的に家に留めておくという対策は正しかった。次のステップとしては、その少女に手伝ってもらって、坊ちゃんをもっと外に連れ出すことをお勧めする。タイミングが合えば学校に通わせることもできるだろう。少しずつ普通の人の生活を送れるようにしていく。僕は2年かけてもできなかったことだが、彼女ならできるかもしれない...」