Xの国、フィラデルフィア。
熊志は腰から漆黒の半自動22口径拳銃を取り出した。この拳銃は極めて小型だが、貫通力は恐ろしいほどだった。まさにこの22式拳銃のおかげで、熊志は何度も危機を切り抜けてきたのだ。
この場所に来て、熊志の心に不吉な予感が湧き上がった。これまでの年月、彼は命懸けの危険な任務を数多く経験してきた。危険な気配に対して、ほとんど野獣のような鋭い本能的な嗅覚を持っていた。
後方で、寧夕は人目につきにくい角に身を隠し、眉を少し寄せながら、どこか様子がおかしいと感じていた……
寧夕の見守る中、熊志は深く息を吸い込み、その後、前方の真っ暗な廃倉庫の中へと入っていった……
……
……
「おかしいな、なぜボスはここで会おうと言ったんだ?くそっ!」
熊志が廃倉庫に入ってまもなく、遠くから一台の乗用車が猛スピードで近づいてきた。車が路肩に停まると、助手席のドアが開き、最初に降りてきたのは陸霆驍の腹心の一人、石逍だった。