第558章 美色に溺れる彼女が四大皆空になるはずがない

実際、ここに来る前、寧家のあの人たちに会うことを考えると、寧夕の心には少し緊張と拒絶感がありました。

あの頃の暗い影が深すぎて、今でも彼女の悪夢に現れることがあるのです。

しかし、実際にここに来て、あの人たちや実の両親からの嘲笑、そして寧雪落のいつもと変わらない偽善的な態度に直面しても、予想していた不安や緊張はまったくなく、怒りや恨みさえも感じませんでした……

時間は、本当に人を変えることができるのですね。

彼女自身も気づかないうちに、かつて最も気にしていたことに、すでに平然と向き合えるようになっていたのです。

「うん、綺麗になっただけじゃなくて、一番大切なのは自信よ。あなたの眼差しは特別魅力的で、なんというか、言い表せない力があって、まるで鳳凰の涅槃のような感じ……」寧天心は少し興奮気味に話し、すぐに心配そうな表情を浮かべました。

人の変化に理由がないはずはありません。彼女が今日のような姿になるまでに何を経験したのか分かりませんが、5年前に寧夕が突然海外に行ったときも、何か裏があると感じていましたが、あまり詮索はできませんでした。

寧夕は失笑して、顎に手を当てながら言いました。「従姉さん、褒め方まで文学的なのね！」

「本当のことを言ってるのよ！」寧天心は少し怒ったように言いました。

寧夕はお酒を一口飲んで、長いため息をつきながら言いました。「ああ、愛があるから悩み、愛があるから恐れる。愛から離れれば、悩みも恐れもない。たぶん、もう気にしなくなったから、自然とこうなったんでしょうね。欲がなければ強くなれるって言うでしょう……」

寧天心はこの言葉を聞いて、顔色が急に青ざめました。「小夕ちゃん、変なことを考えないでね！なんだか諦観めいた言い方をしているように聞こえるけど？」

「ごほんごほん……」寧夕は冗談を言っただけなのに、寧天心を驚かせてしまい、急いで慰めました。「心ねえさん、冗談よ、心配しないで！」

汗、彼女は今、大魔王の美しさに夢中になっているというのに、どうして諦観して出家なんてできるでしょう。本当に諦観できたらいいのに！

……

寧夕は気楽に寧天心と話をしていました。周りで寧夕の服装について様々な噂をしていた人々も、寧夕が全く気にしていない様子を見て、次第に自然と黙っていきました。