ほっけじ。
陸霆驍は坊ちゃんと車の中で待っていた。寧夕は急いで車を降り、おじいちゃんたちを探しに行った。
早朝から線香をあげに来た混雑した人々を避けながら、寧夕は本堂の後ろの中庭へと真っすぐ向かった。いくつかの廊下を通り抜けると、中庭で見覚えのある姿を見つけた。そこには席博義と中年の男女がいて、おそらく席世卿の両親だった。
「おじいちゃん……」
「小夕ちゃん、来たのか!早く来なさい!」寧致遠は孫娘を見つけると、急いで立ち上がって彼女を引き寄せた。
「席おじいさま、おじさま、おばさま……」寧夕は一人一人に挨拶をしながら、不安な気持ちを抱えていた。
席家の三人も寧夕を見ると興奮した様子で近寄ってきた。席ママは救世主を見つけたかのように彼女の手を取り、「あなたが小夕ちゃんね?本当に良い子だわ。私たちの卿卿が帰ってきてからずっとあなたの素晴らしさを褒めていたのも納得よ!」
寧夕は席ママに責められると思っていたのに、まさか褒められるとは思わず、少し呆然としてしまった。
「いい子だから、緊張しないで。さっきおじいちゃんが電話で言っていたことは大げさすぎたのよ。私たちはこの件があなたには関係ないことを知っているわ。昨夜、卿卿が私たちに話してくれたの。二人とも性格的に友達の方が合っているって……」
それを聞いて、寧夕はほっとすると同時に申し訳なさも感じた。
以前、彼女は席世卿を疑っていたのに、彼は帰宅後何も言わず、むしろ彼女のことをずっと良く言ってくれていたのだ。
罪な話だ……今になって、席世卿が何も学ばない遊び人だったらよかったのにと思う。そうすれば対処しやすかったのに、でも実際は……
席ママは彼女の手を握りながら、目を潤ませて続けた。「あなたを呼んだのは他意はないの。私たちは考えられることは全て考えたけど、卿卿がなぜ突然出家したがるのか分からなくて。だから最後の望みを託してあなたを呼んだの!昨夜の卿卿の話し方を見ていると、あなたのことを本当に高く評価しているみたいだったわ。あなたたちはこんなに話が合うのだから、もしかしたら彼はあなたの言うことなら聞いてくれるかもしれない。お願い、私たちの卿卿を説得してくれないかしら?」