席おじいさまは「そんなでたらめな趣味があるものか」と怒鳴りつけようとしたが、孫の今の状況を考えると、黙るしかなかった。
彼は仏教を信じているが、それは自分の孫が僧侶になることを受け入れられるということではない……
寧夕は席パパと席ママ、そして席おじいさまの会話から、席世卿がなぜこんなに良い人なのかを理解した。
この長老たちは皆とても温和で思いやりのある人たちで、来るなり彼女を慰め、今に至るまで疑いや非難の言葉は一切なく、すべて自分たちに原因を求めていた。
だからこそ、寧夕はより一層申し訳なく感じた。
苦労して育てた息子が、自分のせいで出家して僧侶になってしまうなんて、本当に罪作りだ!
彼女は最初少し確信が持てなかったが、彼らの先ほどの会話を聞いて、他の原因を探しても見つからないのなら、昨夜のあの出来事が原因に違いない。あの時の席世卿の様子は……確かにおかしかった……
「こうしましょう。せっかく来たのですから、自信はありませんが、できる限り試してみてもいいですか?」寧夕は提案した。
席ママはそれを聞いて即座に感謝の表情を浮かべた。「よかった!小夕ちゃん、本当にありがとう!」
席パパの表情も少し和らいだ。「プレッシャーを感じる必要はないよ。この件は君とはあまり関係ないんだから、とりあえず試してみよう!」
二人は寧夕を慰めていたが、明らかに心の中はとても緊張して不安だった。結局のところ、今や寧夕が彼らの唯一の希望なのだから。
寧夕は深く息を吸い、席ママが教えてくれた禪房の方向へ歩き出した。
後ろで、寧致遠は深いため息をつきながら言った。「小夕ちゃんが世卿を説得できることを願うばかりだ……」
実際、彼もほとんど希望を持っていなかった。なぜなら、あの子は今回とても断固としていて、たとえ本当に小夕ちゃんに関係することだとしても、おそらく思いとどまらせることはできないだろう。
寧夕は何度も曲がりくねった道を進み、ようやく席世卿のいる禪房を見つけた。
青石の階段を上り切ると、静かな雰囲気の小さな中庭があり、そこには数本の梅の木が咲き誇り、清らかな香りを放っていた。その香りは心に染み入り、瞬時に人を落ち着かせた。