第636章 兄貴は今まともな人間だ

部下は言いながら、二枚の写真を机の上に置いた。「寧夕、唐夕、この二人は確かに同一人物です！しかし、なぜ彼女はSatanのところにいないで、身分を変えて国内に行き、陸霆驍の側にいるのでしょうか？」

「ふふ、面白い……」オーガスティンは顎を撫でながら、興味深そうな表情を浮かべた。

「調べてみましょうか？」部下は指示を仰いだ。

オーガスティンは苛立たしげに手を振った。「必要ない。結果はどうでもいい。どうせ今日、彼女はここで……死ぬのだから！」

部下はそれを聞いて驚愕した。「ボス、あなたは……でも、彼女はSatanの人間です。前回、Satanは彼女のために、唐夜を……」

「黙れ！」オーガスティンは切り取られた耳の部分が焼けるように痛み、屈辱に満ちた心で怒りを爆発させた。「お前は私の命令に疑問を持つのか？」

「い、いいえ！」

「生け捕りにしろ！奴らに見せてやる。この女が……私にどう弄ばれて死ぬのかを！」男の陰険な瞳は血に飢えた意志に満ちていた。

もしこの女がいなければ、彼の計画は失敗せず、同盟から追放されることも、武器の供給を断たれることも、追い詰められることもなかったはずだ……

奴らはこの女を大切にしているんだろう？今から見せてやる、彼に対してそんなことをした代償を！！！

その部下は考えれば考えるほど不安になり、怒りを押し殺しながら諫めた。「もしSatanに知られたら……」

オーガスティンは軽蔑的に嗤った。「あの腰抜けめ、今はマラッカ海峡に追い詰められて一歩も動けないんだ！彼が知るころには？彼が知る頃には、その女の死体はボロボロになっているさ！それに明日には上からの援軍がこの地獄から俺たちを連れ出しに来る。何を恐れる？お前は菲羅とアリスの仇を討ちたくないのか？」

部下は歯を食いしばった。「分かりました！すぐに人数を増やして向かいます。あの女は手強いかもしれませんから！」

オーガスティンは抱きしめていた魅惑的なボディの美女を押しのけた。「待て、俺が直接行く！」

……

寧夕は方向を確認した後、すぐにはカジノに向かわず、何度も曲がりくねった道を進んで隠れた小さな店に入った。

「店主さん、グロック17を一丁お願いします。」