X国の軍用戦闘機2機と戦車5台が突如としてフィラデルフィアに出現し、オーガスティンたちはその場に立ち尽くした。オーガスティンのStanと唐夜に対する憎しみさえも、一瞬で消え去った。
すぐに、数十台の軍用トラックが現れ、各車両の上には軽重武器を持った正規軍の兵士たちが立ち、鷹のような鋭い目つきで周囲を見渡していた。
しばらくして、白い軍用トラックがオーガスティンたちの真正面に停車した。
車のドアが開き、まず軍服を着た男性が降りてきた。階級章から見て大尉クラスだった。
「止まれ!」大尉はオーガスティンたちを見て、厳しい声で命じた。
次の瞬間、軍用トラックから何百人もの完全武装した兵士たちが溢れ出し、黒々とした銃口をオーガスティンたちに向けた。
この時、オーガスティンの全身は冷や汗で濡れていた。これらの兵士たちは、X国の正規軍だったのだ!
今、オーガスティンはまだ一縷の望みを抱いていた。X国が正規軍をフィラデルフィアに派遣したのは、彼らを狙ったものではなく、おそらくSatanを追っているのだろうと。
そうだ、きっとSatanに違いない!
オーガスティンは心の中でますますその確信を深めた。Satanクラスの存在だからこそ、X国が正規軍を出動させて対処するはずだと。
「名前を言え!」
ある下士官がオーガスティンの前に立ち、サブマシンガンを構えながら厳しく命じた。
「オーガスティン・カヴェンディッシュです!」オーガスティンは額に大粒の汗を浮かべ、極度の緊張した面持ちで即座にフルネームを答えた。
「このバカ野郎!」下士官は怒鳴り、サブマシンガンの銃床でオーガスティンの顔面を強く殴りつけた。
オーガスティンはこの突然の激しい一撃で地面に倒れ込んだ。二人の屈強な男たちはオーガスティンが地面に倒れるのを見ていたが、何も行動を起こす勇気はなかった。この二十数人の中で、誰一人として声を発する者はいなかった。
「人を出せ!」
下士官は怒鳴り、続いて銃に弾を込める音が響き、うめき声を上げるオーガスティンに向けられ、いつでも引き金を引けるような構えだった。
「人って...ああ、どんな人ですか、どこの人ですか!」オーガスティンは先ほどの一撃で完全に頭が混乱し、今この下士官が突然人を出せと言われても、どの人のことか分からなかった。