第654章 私私私!私が彼の奥さんです!

この時、両勢力が対峙し、火薬の匂いが漂っていた。しかし、今のところ誰も軽はずみな行動は取れなかった。

「どうしたんだ?」隊列が突然停止したため、後ろの銀色の車から男の問いかける声が聞こえた。

車の中で、男の隣にいた寧夕は元気のない様子で、失血のせいで顔色が真っ青だった。外で何が起きているのか気にする余裕もなく、物音を聞いても、まぶたを少し持ち上げただけですぐに目を閉じた。

唐夜は装甲車から降り、銀色の車の横まで歩いてきて、「軍の者たちです」と言った。

車内で、銀髪の男はその言葉を聞いて目が冷たくなった。「ほう?」

フィラデルフィアはいつも無法地帯だったのに、軍が今回余計な口出しをするとは?

しかも、この様子では動員できる軍事力を全て集めてきたようだ……

「面白い」男は口角を上げ、ドアを開けて車から降りた。