第469章 手伝ってもらえますか？

鄧和がそう言うと、会場全体が一瞬にして沸き立ち、知っている人は薛夕を見つめ、知らない人は鄧和教授の視線に従って一緒に前列を見つめた。そして鄧和教授は下に座っている赤い髪の少女に向かって言った：「彼女は私の社長の娘で、皆さんの同級生です。」

その言葉とともに、薛夕は立ち上がり、後ろの人々に軽く頷いて挨拶とした。

「…………」

教室全体が静まり返り、全員が信じられない様子で薛夕を見つめていた。

陳院長は薛夕が立ち上がって頷いて座った後も、まだ呆然としていた。先ほど鄧和は何と言ったのか？

神経酸の開発者が薛夕？

彼が言ったのは開発者であって、開発参加者ではない。しかし、どうしてそんなことが可能なのか？

このような高度なプロジェクトが、十九歳の少女によって開発されたというのか？

いや。

麗晟製薬工場の製品は既に臨床試験段階を終え、現在は大量生産に向けて準備中だ。これは神経酸が半年前には既に開発されていたことを意味する。

半年前、薛夕は何をしていたのか？

高校で、確か大学入試の準備をしていたはずだ。

陳院長は唾を飲み込み、薛夕が彼を見つめているのに気付いた。彼女は丁寧で敬意を込めて言った：「院長、私は神経酸が何かを知っています。」

陳院長：「…………」

神経酸の開発者が、神経酸を知らないはずがない！

先ほど自分は彼女の前で誘導するような話し方をしていたのに、相手は実は大物だったとは！

陳院長は口角を引きつらせ、何となく顔が痛くなるような気がした。

一方、顧雲卿の顔は単なる痛みどころではなかった。彼女は目を見開いて、信じられない様子で薛夕を見つめていた。

どうして可能なの...どうしてこんなことが！

鄧和教授が薛夕の家の会社の従業員だったなんて、しかも彼は何を言ったの、神経酸の開発者が薛夕だって？

なるほど、だから薛夕は講演の中心に座れたのか。

彼女は拳を強く握りしめ、まるで頬を何度も平手打ちされたような気分だった！

その後、鄧和は神経酸開発の心理的プロセスについて語り、この神経酸が化学の発展において画期的な意義を持つことを説明した。