薛夕のXという身分は、実は外に言えないことではなかった。
彼女が隠していたのは、かつて特殊組織のsss級ファイル管理システムを攻撃したことがあり、見つかれば処分されることを恐れていたからだ。
でも謝瑩瑩には秘密にする必要はない。
謝瑩瑩は一瞬戸惑い、夕さんの凄さを知っていても、この件を夕さんと結びつけることができず、まだ不思議に思っていた:「どこで見たの?私知らないんだけど?」
話している時、隣からクラスメートが集まってきた:「あなたたちもXの話をしているの?」
謝瑩瑩は頷いた:「うん!」
李紫夏も近づいてきて、小声で話し始めた:「私が聞いた話では、このXは日の光を見ることなく、陰気な痩せた男子学生だって!」
薛夕:?
李紫夏がそう言うと、他の人も言い出した:「私が聞いた話では、Xは私たちの学校のある女の子に片思いしていて、だからハッカーの技術を必死に練習して、いつか告白するためだって。」
薛夕はさらに困惑した:??
「あなたのバージョンは違うわ。私が聞いたのは、Xは天才で、コンピュータ学科に入学しなかったのは、もうハッカーレベルまで達していて、学ぶことが何もないからだって。」
「…………」
バージョンがかなり多いようだ。
薛夕は口角を引きつらせながら、謝瑩瑩に個人的に認めるのは一つのことだが、こんなに大勢の前で認めるのは別の話だと思った。
そして学習の話になると、みんなの視線が自然と薛夕に向けられ、誰かが尋ねた:「夕さん、コンピュータって難しい?勉強しやすいと思う?」
薛夕は少し考えて:「まあまあかな、結構簡単だよ。」
みんなは一斉に笑い出した。
夕さんにとっては、何を学んでも簡単なのだろう。
みんなが談笑しながら授業に向かう中、隣でちょうどコンピュータ学科の劉院長が二人の大学院生を連れて通りかかったことに気付かなかった。
その言葉を聞いた大学院生が口を開いた:「今の一年生って、こんなに傲慢なの?私たちは何年も学んできたのに、彼女の口からは『結構簡単』だって?」
もう一人の大学院生も言った:「あなたは話していた女の子を知らないんだ。あれは薛夕だよ、化学学院の陳院長と数学学院の馮院長が争って獲得しようとしている人だよ!」