夏天は素早く前へ突き進んだ。
「夏天、必ず仲間の仇を取ってくれ」と兵花雷婷は頼んだ。
「安心しろ、俺はそう簡単には死なないさ。女と国のためなら血の最後の一滴まで流す覚悟だ。もちろん、お前のためにもな」夏天は素早く叢林を駆け抜けた。
猛虎特戰隊の指揮所内では、全員が彼の言葉を聞いていた。スピーカーで外部に流れていたからだ。彼の言葉を聞いて、指揮所内の全員が呆然とし、その後無奈に頭を振った。
ただ一人、参謀の顔色があまり良くなかった。彼は兵花雷婷の側に来て言った。「若造、俺は龍天生だ。雷婷は俺と幼なじみなんだ。もし俺と争うつもりなら、生きて帰って来いよ」
兵花雷婷は彼を睨みつけた。
先ほどの会話のおかげで、指揮所内の雰囲気は先ほどほど重くなくなっていた。
「君たち若者たちは」と師團長も無奈に頭を振った。
「まずは生きて帰って来てからだな」兵花雷婷は意外にも拒否の意思を示さず、夏天を罵ることもしなかった。
もしこの言葉が他の誰かの口から出たものなら、彼女はとっくに相手を懲らしめていただろう。しかし今、彼女はそうしなかった。
「一人発見」夏天の体が跳ね上がり、敏捷に木の枝に飛び乗った。
全員が夏天の状況に注目していた。夏天の画面はすでに拡大されており、彼らは驚いて夏天の方を見つめていた。なぜなら、彼が先ほど木に登る速さがあまりにも速かったからだ。
バン!
一発の銃声が鳴り響いた。
みんながようやく夏天の頭上にある小型カメラから一人の人影を捉えたとき、夏天はすでに一発撃ち出していた。
その人物の体が倒れるのが見えた。
「一人目、あと二十人だ」夏天の体は空中で一回転し、安定して着地すると、すぐに前へ走り出した。
「こいつ、体が猿みたいに敏捷だな」と第三旅團の旅団長が称賛した。
「猿にはこんな素晴らしい射擊技術はないさ」と師團長が言った。先ほどの人物は夏天から少なくとも700メートル離れていたが、夏天は素早く木に登り、そのまま発砲し、一発で命中させた。
全員が希望を見出したかのようだった。彼らは期待し始めた。夏天が本当に一人の力で敵を倒せることを期待し始めた。