第270章 霊犀一指第二重

三師の師団長は夏天がこれほど強いとは思わなかった。最初から花武柳を圧倒していたが、彼は少しも心配していなかった。花武柳には秘密の武器があるので、絶対に負けるはずがないと考えていた。

「秘密の武器か。まさか動感光波じゃないだろうな?」夏天は軽く笑いながら、足下の漫雲仙歩を止めなかった。

彼は口では何でもないと言っていたが、警戒心を高めていた。

花武柳がそんなことを言うには理由があるはずだ。切り札があると言うからには、何かあるに違いない。

漫雲仙歩の速度はどんどん速くなり、まるで仙人が舞い降りてきたかのようだった。

「私の目がおかしくなったのかな。仙人が見えたような気がする」

「私も見えた。夏天がまるで仙人のようで、花武柳は全く彼に触れることができない」

「これでも人間なのか?」

観客席にいた特殊部隊員たちは、こんなに速い動きを見たことがなかった。彼らは皆、目を見開いて驚いていた。夏天の動きの角度は非常に巧妙だった。

時には左に行くと思われたときに、逆に右に行くこともあった。

兵王花武柳の拳の力は大きいが、速度は速くなかった。彼は力任せの戦い方をしていた。

夏天がもっとも恐れないのはこのタイプの相手だった。彼にとって、花武柳は力が強くても全く当てられない存在だった。彼の漫雲仙歩と霊犀一指は、完全に花武柳の重拳を封じていた。

白羽のような速さこそが夏天が最も恐れるものだった。彼は全く白羽の速度についていけず、そんな戦いでは手の打ちようがなかった。

しかし花武柳のような相手は違う。彼の速度は普通の人よりほんの少し速いだけだった。

「夏天、調子に乗るな」花武柳は夏天がこれほど強いとは思わなかった。夏天の漫雲仙歩に彼は全く対応できず、夏天が次の瞬間どこに現れるかわからなかった。

「お前の秘密の武器はどこだ?まさかお前の秘密の武器はイキリだけか?」夏天は花武柳を見て言った。

もしこのまま戦い続けるなら、夏天は3分以内に花武柳を倒す自信があった。花武柳も同じく玄級の達人だったが、彼の実力は流沙の殺し屋よりも弱かった。

一般的な玄級の達人は歩法を習得しているものだ。歩法を持つ玄級の達人こそが真の玄級の達人と言える。しかし花武柳は全く歩法を理解していなかった。彼の開山拳の力は悪くなかったが、速度は玄級の達人のどれとも比べものにならなかった。