白羽が自分の側に来るのを見て、紅さんは少し驚いた。彼女と白羽は黄金比の身長差で、彼女は丁度白羽の肩の下あたりだった。
「うん」紅さんは頷いた。なぜか、白羽が付いてきてから、彼女は全体的に自信に満ち溢れ、何も恐れなくなったような気がした。
「くそ、ジャック、もう一杯くれよ。あいつら二人、俺を完全無視してるじゃないか。腹立つぜ」夏天はグラスをジャックの前に置いた。
「紅さんが言ってたでしょう。一日一杯までって」ジャックは夏天を断った。
「くそ、天理もへったくれもないな」夏天は白羽のグラスに目をつけた。白羽は紅さんと中に入ってしまい、彼の酒はそのまま置いてあった。
白羽のグラスを手に取り、夏天は一気に飲み干した。
「ふぅ、最高だ」夏天は長く息を吐いた。
ジャックは夏天の行動を見て、急いで紅さんのグラスを片付けた。夏天が紅さんの分まで飲んでしまうのが本当に怖かったのだ。
「ジャック、お前は本当に融通が利かないな。そんな外国人じゃ、中國で友達なんてできないぞ」夏天はジャックを説得し続けた。
「ダメです。この酒は飲み過ぎちゃいけない。飲み過ぎたら次来たときに飲みたくなくなりますよ」夏天がどう言おうと、ジャックは断り続けた。彼は夏天のそういう手には全く乗らなかった。
個室の中。
紅さんと白羽は一緒に入った。
「李局長、張局長、私さっき出たばかりですが、また何かありましたか?」紅さんは笑顔で二人を見た。彼らの周りにはキャバ嬢たちがいたが、これらの女性たちは紅さんの店の子たちではなく、二人が他の店から連れてきた子たちだった。
「小紅ちゃん、これはいけないんじゃないか。李局長には酒を勧めておいて、私には勧めない。これはどういうことだ?私を見下してるとでも言うのか?」張局長は机を叩いて厳しい表情で紅さんを見た。
「張局長、そんなことありません。私は酒が弱くて、さっきの一杯はお二人に対する敬意でした」紅さんは急いで説明した。
「なに?一杯の酒で二人に敬意を表すだって?それはどういう意味だ?」張局長はこれを聞いて更に怒りを増した。実際、紅さんが何を言おうと、彼は怒るつもりだった。それは既に準備していたことだったからだ。