第373章 氷川を説得

その声の主は超上忍の沙比一川だった。先ほどまで廊下の向かい側にいた彼が、一瞬で夏天の側に現れ、鋭い短刀を夏天の首に突きつけていた。

この短刀がもう一寸進めば、夏天は間違いなく死ぬだろう。

「どうやってそれを?」夏天は尋ねた。彼は少しも動揺せず、超上忍の沙比一川の方を振り向いた。彼の手から飛刀は床に落ちていた。

沙比一川は夏天を殺せる自信に満ちていた。夏天との距離が十分に近く、夏天が少しでも動けば即座に対応できるからだ。

彼は人が死ぬ直前の表情を見るのが好きだった。特に憎い相手の場合は。

夏天は彼の指を一本折った。この恨みは小さくない。彼は夏天を苦しめ抜いてから殺すと誓っていた。

「お前、少しも怖がってないようだな」超上忍の沙比一川は不思議そうに夏天を見た。

「恐怖なんて知らないよ。二つ質問がある。一つ目は、どうやって私の前に来たのか。二つ目は、本当に私を殺せると思っているのか?」夏天は極めて冷静に言った。