第372話 超上忍との戦い

夏天の警告があったため、冰川は相手を逆に一度やり込め、簡単に二人の上忍を倒した。

通常の戦いであれば、冰川にも勝機はあったが、それは実際の戦闘次第だった。戦闘中に何が起こるかは誰にも予測できず、些細なことで戦況が変わる可能性があるからだ。

しかし今回、冰川は10秒もかからずにその二人の上忍を片付けることができた。それは先手を取れたことと、相手が彼の実力を知らなかったからだ。

寒氷の秘術は彼の祖父である北の軍の名を上げた絕技であり、祖父はこの技によって華夏の四大高手の一人となったのだ。

寒氷の秘術を発動すると。

皮膚の表面に氷の層が現れ、この氷の層は防御にも攻撃にも使える。

実は冰家の寒氷の秘術が男子にしか伝えられないのは、冰おじいさんが男尊女卑だからではなく、寒氷の秘術が女性の修行に適していないからだ。女性が寒氷の秘術を修行すると、体内の陰氣が過剰となり、全身が氷のように冷たくなってしまう。

そして寒氷の秘術の修行レベルが上がれば上がるほど、女性にとって危険となり、自殺行為と変わらなくなる。

冰川の危機は解決したが、彼は夏天を援助しに行かなかった。一つには相手にまだ後手があるかもしれないと懸念したためで、今出て行けば必ず露見してしまい、沙比一川がここの状況を知ることになる。

今から夏天を援助しに行っても間に合わない可能性があり、さらに夏天の計画を台無しにする恐れもあった。

夏天は常に暗闇の中に潜んでいた。

数分後、沙比一川は和諧大ホテルに戻ってきた。

彼は眉間にしわを寄せたまま、無言で急いで上階へ向かった。夏天は静かに彼の後を付いていた。

「くそっ、まだ連絡がない。何か問題でも起きたのか」エレベーター内で沙比一川は怒りを込めて言った。

彼は気付いていなかったが、このとき、エレベーターの上部に一人の人物がいた。それは他でもない夏天だった。夏天は彼がルームキーを受け取りに行っている間にエレベーターに乗り込み、上部の保守口を開けてエレベーターの上に移動していたのだ。

「本犬領事、そちらで何か状況は入っていますか?」沙比一川は電話で尋ねた。

夏天には相手の言葉は聞こえなかった。