第371話 やはり罠があった

冰川は先ほどのような衝動的な気持ちはもうなくなっていた。彼はその島國の超上忍である沙比一川が胡列を傷つけることができたということは、その実力は侮れないものだと理解していた。そして、胡列を見つけることができたということは、すでに夏天たちの居場所を突き止めていたということを証明していた。

しかし、なぜ特に胡列を狙ったのか。実際、冷静になって考えれば、その理由は明白だった。

この四人の中で最も実力が高いのは彼と夏天であり、葉婉晴は特別行動部の部長として高い地位にあり、もし彼女に何かあれば、島國人たちは華夏から出られなくなるし、DR10も持ち帰ることができなくなる。

だから葉婉晴に手を出すことはできず、この四人の中で胡列だけが安全に手を出せる相手だったのだ。

彼は夏天たちの仲の良さも知っていた。胡列を襲えば、夏天と冰川は必ず復讐に来るだろう。そうすれば、彼の罠にまんまと嵌ることになる。